帆柱自然公園愛護会の本

帆柱自然公園は、九州最北部の都市北九州市内に位置する自然豊かな公園です。公園内の、皿倉山(622m)権現山(617m)・帆柱山(490m)花尾山(351m)およびその周辺部には、照葉樹林を中心とする変化に富んだ森が広がり、その中にさまざまな動植物が生活しています。すなわちこの森が、草や樹木を食べる多くの種類の昆虫の生活を支えているのです。さらにそれらを食物としてたくさんの野鳥が生活、子育てをしています。このように植物から動物への食物のつながりがとても豊かな自然公園です。
第1部は、この公園内に生息する133種の野鳥のうち、目に触れやすい種類を選び、その美しい写真と、環境や人との関係を解説しています。また、巣箱の意義作り方と掛け方を詳しく紹介し、野鳥の生活、かかわり、楽しみ方にも触れています。この帆柱自然公園は都市に近く、皿倉山にはケーブルカー、それに続くスロープカーの利用で便利なため、多くの人が訪れ親しまれています。そこで第2部はこの公園を訪れる方が、楽し一日を過ごしていただくために、登山コース、季節ごとの動植物、歴史、風景等、当会会員が紹介しています。
四季折々、あなたなりの楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょうか。さあこの本をもって、野鳥のさえずりを聞きながら自然を満喫しに出かけましょう・・・。

皿倉山は『日本書紀』(仲哀紀)にあるように歴史のある山です。昭和10年代に権現山と共に旧日本軍の管理下に置かれたため、未開発部分が多くのこされてきました。植生も多様で、野草やキノコなどが豊富に認められます。昭和32年、自然公園法で国定公園(帆柱自然公園)の指定を受けるなど、今日まで環境が保護されています。戦後の経済の成長とともに環境汚染が拡大し、自然公園の保護を目的に帆柱自然公園愛護会が設立されました。爾来、自然を護り、歴史を伝え、自然との共生の心を育むための活動を続けています。本年で設立45周年を迎えましたが、35周年記念で発行しました『帆柱自然公園と野鳥たち』の姉妹編として、今回、帆柱山系に自生する花とキノコをハンドブックにまとめました。登山の際の一助となれば幸いです。