帆柱パトロール

曇っていた。いや、私の心が曇っていたのかもしれない。
本日は帆柱パトロールの日であった。山に登る。ただ、それだけのことなのに、人はなぜか神妙な顔をする。もちろん私もそのひとりで、何か大いなることを成すような面持ちで、10時きっかりに麓の食堂前に立った。集まったのは、保全会員14名と、ボランティア研修生3名。合計17名。まるで何かの儀式でも始まりそうな奇妙な数字だ。

今回のコースは、だんだん広場から続く直登コースと、いくぶん優しさを含んだ迂回コースの二つ。どちらにしても、私たちにとっては馴染みが薄く、説明の段になると、誰もが自分の記憶を頼りに断定しようとするので、まるで迷宮の入り口で道を訊く者たちのようであった。会話は、かみ合わない。人生とは、そういうものかもしれない。

しかし、幸いにして、先頭をゆく案内人は確信に満ちていた。迷いを捨て、いざ出発。前夜の雨が山道をぬかるませ、ところどころ足を取られるも、引き返す者はいなかった。滑っても、転んでも、人は前に進むものらしい。

二手に分かれた我々は、黙々と立ち枯れる木々を見つけては、白いテープを巻きつけた。まるで、自分の存在をそこに留めるかのように。そして、テープには日付を記した。生きていた証、というには大げさかもしれないが、それに近いものだった。九本の木が、我らの訪れを受け止めた。

昼過ぎ、ヤマボウシの山小屋に到着。冷たいおにぎりも、黙って食べれば、それはそれでうまい。
反省会という名の内省の時間が設けられ、誰もが何かしらの「もう少しこうすればよかった」を抱えていた。

午後、我々は再び分かれた。下山パトロール班と、珍樹の森作業班。与えられた役割を果たすべく、それぞれの道を選んだ。それが正しいかどうかは誰にもわからない。ただ、その瞬間、私たちは「今日」という日を、確かに生きていたのだ。

帆柱山よ。今日も、ありがとう。
明日は晴れるだろうか。いや、心の天気が晴れてくれれば、それでいいのだ。

新緑の皿倉、河内の山・里歩き

5月14日は、気温27℃と暖かく、良い天気に恵まれました。この日、13kmの健脚コースである「新緑の皿倉、河内の山・里歩き」がスタートしました。本年から集合時間を1時間早め、朝の冷気が残る時間帯に洞見平に向かう急登を登りました。

5月の山中は、新緑が鮮やかで風もまだひんやりとしたり心地よい一時です。計42名の参加者とスタッフは、道沿いの新緑や野の花、竹林を楽しみながら昼食地の旧あじさいの湯に着きました。

昼食後、田植え前の田んぼに案山子が並ぶ奥田の里を抜けて市ノ瀬峠へ。市ノ瀬峠では、大きな桜の倒木が登山口を塞いでいたのですが、参加者たちはそれを乗り越えて進みました。

市ノ瀬からは皿倉平へ爽健の森を登り返しました。この道は急ではありませんが、疲れ始めた体には長く感じられました。ようやく着いた皿倉平は一次解散地でしたが、離脱者は数名のみでほとんどの参加者が煌彩の森を下り、本格的な登山シーズン前の足試しに満足して家路に付きました。

この一日、自然の美しさと四季折々の風景を楽しみながら、皆で共有することができました。今後の活動も期待です!

ファミリー登山 in 皿倉山

5月5日、こどもの日に愛護会主催の初めてのファミリー登山を開催しました。親と子供、祖父母と孫、さらには3世代家族など多様なファミリーが集まり、皿倉山の自然に触れ合うことを目的として企画されました。

晴天の下、4家族・子供5人・大人7人の参加で出発前の開会式と準備体操を行った後、「エイエイオー!」の大声で銅像前広場を出発しました。

表登山道コースをゆっくり歩きながら、2合目では水分補給や衣服の調整を行い、子供たちにはおやつを配りました。

意外にも子供たちの足取りは軽快で、野鳥の鳴き声や植物の観察を楽しみながら、4合目に到着しました。ここでは皿倉山の魅力を知ってもらうためにクイズを出題していると、アナグマ君がサプライズゲストとして登場し、参加者は大いに興味を持っていました。

6合目で皿倉八景の楓杉峡を堪能した後、ラストスパートに突入。ゴール地点のビジターセンターまで子供たちのペースは落ちることなく、無事に到着しました。木メダルを受け取り、ファミリー登山を終了しました。

最近、小さい子どもと関わる機会が少なかった私たちにとって、この山歩きは新鮮な気分とパワーを与えてくれました。

初夏の花が咲いています

皿倉山の森林植物園に初夏の花が咲き始めました

フユザクラの広場ではシャクナゲが咲いています

ムシの被害が心配されたハンカチの木にも、ひらり。

あなぐまにも遭遇

薬用植物園の朴の木はまだ咲いていませんでしたが、ふもとに近いふれあいの家跡では甘いにおいを漂わせていました

新緑のもみじも、きれいです