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皿倉山ビジターセンター

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第13話「フィトンチッドと森林浴の関係について」

1 min read

皿倉山や帆柱山で爽やか気分を満喫してみませんか

 ブルーマウンテン現象の山は、揮発性物質がたくさん漂い、フィトンチッドの成分も濃厚であることが分かっています。森林に漂う揮発性物質が人間の健康に役立つことが分かってから、森林浴という言葉がたちまち普及し、森林の働きに新しい分野が加わったのです。

 森林には揮発性物質が浮遊し、それはどんな働きをするのか、なぜ物質を発散するのか・・など、不思議ないろんな現象がおこっていますが、眼に見えない物質には、植物の営みの奥深ささえ感じるものがあります。

 また、どんな林相の山にフィトンチッド多く発生するのか、時期はいつ頃が多いのか、どんな成分を含んでいるのか・・などが今回の主要課題です。

1.フイトンチッドの発見 #

1.海峡を隔てた日英間のロマンは、常緑樹のアオキが主人公

 北九州市のほぼ中央に位置する帆柱山系の森林は、針葉樹林52%と広葉樹林48%の林相が占めています。森林内は起伏有り、老齢林あり、眺望のポイントありと森林浴の効果が期待できるコースが多いのです。それにしても揮発性物質がたくさん漂っていることが条件です。

 多くの浮遊微粒子の正体は何か・・ソ連レニングラード大学のトーキン教授は、1930頃にマツやモミが強い匂いを発散し、その匂いでアメーバーや病原菌が死滅する現象を発見したのです。

 全ての植物が放出する揮発性並びに非揮発性物質で、他の生物に影響を与える物質を「フイットンチッド」と名付けたのです。それはラテン語の「フィトン=植物」と「チッド=殺す」の合成語なのです。

 北九州市のほぼ中央に位置する帆柱山系の森林は、針葉樹林52%と広葉樹林48%の林相が占めています。森林内は起伏有り、老齢林あり、眺望のポイントありと森林浴の効果が期待できるコースが多いのです。それにしても揮発性物質がたくさん漂っていることが条件です。

2.森林浴に効果的な物質とは #

 森林浴で体にプラスに働く化学物質を正しく表現する言葉は、フィトンチッドではなく揮発性活性物質(ボラクタンス)である。

 木の成分は、セルロース40←→55%、ヘミセルロース20←→30%、リグニン20←→30% を3主要成分といいます。この他に抽出成分が数%含まれますが、種類が多く(通常50~100種)パワフルで様々な働きをする成分であることが分かっています。

 この3主要成分の含有量は、木の種類によって変わらないのですが、抽出成分は種類毎に含有量は変化します。そのために樹木の香りが樹種によって違うのはそのためなのです。

 抽出成分の中には木の香り成分、色の成分、耐久性成分、その他さまざまな成分が含まれています。このような成分が人間の健康に活力を与えてくれるのです。

 森林浴は自律神経を安定させ精神をリラックスさせたり、或いは森の緑は現代人の疲れた目を休ませるなど、森には癒しの作用があるのです。

 森の中に入るとさわやかな香りを感じるときがあります。これは主に樹木が発するアルコール・フェノール・エステル・脂肪酸・炭水化物・テルペンなど様々な物質から構成されています。最も大きな割合を占めるのはテルペン類です。

3.効用成分はテルペン #

  なぜ樹木がそのような物質を作りだしているかと言えば、樹木の生活にとって防御物質としての効用、他個体との通信するための化学物質として、周辺の個体に危険を知らせたり、虫の天敵を呼び寄せるのも匂いを使っていることが知られています。

 こうした抽出成分は木のどこから出てくるのだろうか。これは樹木の葉や幹から揮発性物質として発散される。根から分泌される成分・落葉の分解によって出る成分などいろんな部位から抽出成分が出できます。

 この成分は揮発性の物質もあるし、非揮発性物質もあります。これらの成分が木から飛び出して、他の生物、つまり動植物、そして人間に影響を与えるわけです。それらを総称してフィトンチッドと呼んでいます。

 その中で特に森林浴に関係あるのは、揮発性物質です。
テルペンはスギやヒノキの葉をちぎった時に漂う香りです。樹木には通常50~100種のテルペンが含まれています。

4.揮発性物質の濃度・時期・場所など #

 揮発性物質が液体になったのを精油と呼んでいます。樹木から採り出せる精油(揮発性物質)の量は木の種類によって違いがあります。

1.針葉樹の例ではトドマツ・ネズコ・スギ・ニオイヒバ・ヒノキなどが含有量が多い。広葉樹ではクスノキ・ヤブニッケイ・タブノキなどか含有量が多い。針葉樹の方が精油量が多い傾向にある。

2.テルペン濃度は、スギやアカマツなどの針葉樹の方が広葉樹より濃度が高い。また、単木よりも樹木が集まった林の状態の方が濃度が高い。

3.テルペン濃度が高い場所は、山の山腹部で中腹から上に行くにしたがって、少しずつ減っていく。

4.晴れた日は濃度が高く、雨の日は1/10~1/50まで下がる。

5.季節によっては6~8月は濃度が高く、冬になるにしたがって低くなる。

6.テルペンは空気より重いので、樹冠の上では木の香りは殆ど無い。

★ユーカリの例
ユーカリは非常に木の匂いが強く、葉からテルペンを多量に放出する。するとこのテルペンが地表に蓄積されてくる。空気中を浮遊している時はそれほど濃くないのだが、地中に長年貯まってくると、植物の発芽や生長を阻害するようになる。  → アレロパシィー現象

5.揮発性物質の効用の実例 #

  森林内に漂う揮発生物質には、少なくとも50種類から多いときは100種類の成分が入っていますが、その中の強い効果をもつものが製品化かされています。

1.ヒノキの埋もれ木に含まれる成分には、虫歯菌を殺す作用がある。また天然の中では、抗菌性の強いとされる「ヒノキチォール」でも、虫歯菌を殺す作用がある。

2.木の成分に脱臭作用がある。効果を含む樹種は、ヒバ・ヒノキ・トドマツであり、悪臭をとる作用がある。タバコの匂いをよくとるのて室内芳香剤などに製品化されている。

3.最近は木に含まれる成分がゴキブリ・蚊・ダニに対して作用する。木の匂いを使ってダニを殺す製品や、木の匂いを含ませた合板製品がいくつか開発されている。

4.木の香り、植物の香りは人に対する薬理効果をもつている。例えば風邪薬・胃薬・肩凝り用の湿布薬などに利用されている例は多い。

5.木の成分の殺虫効果を利用して、洋服ダンスの防虫剤の製品化、これにはスギの葉が利用されている。

帆柱山頂

6.ヒバ材の成分を利用した養毛剤、石けん、水虫の薬、などその種類は多彩である。

7.木の成分にはカビを抑える力がある。合板の中に成分を含ませることで床板、壁板、天井板などの製品が開発されている。

8.芳香剤としてジャスミンの香りは興奮作用があり、ラベンダーは鎮静作用があるといわれている。

 フィトンチッドと森林浴の関係について述べてきたのですが、参考文献に頼るところが多く、しかもうまく集約ができていません。短編にまとめることの難しさを痛感しています。

(文責:田代 誠一)

【参考文献;樹木社会学・渡邊定元著・東京大学出版会 :森林の生態・菊沢喜八郎著・共立出版株式会社 :森に学ぶ・森林浴の生理学・宮崎良文著・日本林業技術協会 :植物という不思議な生き方・蓮実香佑著・PHP研究所 :森林浴のメカニズムと効用:谷田貝光克 著・全国林業改良普及協会・ ほか】     

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Table of Contents
  • 1.フイトンチッドの発見
  • 2.森林浴に効果的な物質とは
  • 3.効用成分はテルペン
  • 4.揮発性物質の濃度・時期・場所など
  • 5.揮発性物質の効用の実例

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