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皿倉山ビジターセンター

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第11話「帆柱山系にはスギ林が多いのに、なぜ稚樹が芽生えないのか・・・?」

2 min read

  帆柱山系の約半分は広葉樹林です。残り半分はスギ・ヒノキの人工林でもって森林を構成。それだけ多くのスギ・ヒノキの花粉が飛び交い、結実の可能性が高くなります。秋季の風の日には、いろんな種類の種子が飛散していますが、その中でも最も多い種子はスギだと推定。次に多いのはヒノキ、アカマツではないかと想定。その次がミズキ類の花粉かと..?

 この上位3種類の中で、ヒノキやアカマツの種子の飛散は、帆柱山系のあちこちで稚樹として観察することができます。特に帆柱森林植物園の東側の園路を歩いていると、沢山の稚樹の芽生えを観察することができます。このあたりはヒノキやアカマツの成育適地だと言えます。  

 だが、種子散布の第1位はスギでありながら、稚樹はめったに見ることができないのです。 どうして芽生えないのか..。何が原因なのか..。   たいへん不思議な現象です。 植物観察を続けていると、ふと意外な問題にぶちあたることがある。今回の課題もそんな中から生じた疑問です。

1.スギ・ヒノキ・マツの成育適地など・・・ #

 人工林は多くの苗木を強制的に一定の地域に植林することから、保育作業も人手が必要になります。そんな中で、スギなどの分布域や成育適地や生態を、次のようにまとめてみました。

区分スギヒノキアカマツ
分布域本州、四国、九州、屋久島福島県以南の本州、四国、九州、屋久島本州~屋久島、朝鮮温帯に分布
成育の適地暖帯北部が最適、中腹以下の適潤肥沃な土壌で良好な成育を見せる暖温帯の中腹から尾根筋の乾燥地に好んで生える陽樹でやせ地乾燥地にも耐える。二次林に多く見られる
開花と雌雄雄花は小枝の先端部に群着、雌花は短枝に頂生、3~4月開花、雌雄同株雌雄とも短枝の先端に一花毎4月頂生開花、雄花は茶系、雌雄同株新枝下部に雄花は群着、雌花は先端に2個程4~5月開花、雌雄同株
成熟期球果は10~11月に赤褐色に成熟球果は9~10月に赤褐色に成熟球果は翌年10月に成熟
種子種子は左右に狭い翼が発達、各種麟に2~5個種子は狭い2翼が発達、種子は各果鱗に2・4個種子は約3倍長の翼が発達、各果鱗毎に2個
(原色日本林業樹木図鑑第1巻より一部抜粋)

★翼は種皮の一部が変形したもので、スギ科・ヒノキ科・コウヤマキ科の翼は皆同様である。マツやモミ類の翼は、種麟の組織が種子に付着したもので、翼は落ちやすい。

2.樹冠下の稚樹の発生は、陽性と陰性の特性にもよる・・? #

  成長を続けている樹木は永年固着生物として寿命のかぎり、生き長らえる方策を保持しています。その一つが自己の傘下に子孫である稚樹の発生を抑制する特性を持っていることです。

(1) これまでのいろんな学説の中から、渡邊定元著・植物の世界第11巻「アカエゾマツの発芽阻害」の項がたいへん参考になります。 樹冠下の地上や地下の空間を親子、孫、ひ孫で争うようなことは不経済である。これまで樹林下に後継樹の少ない現象は、動物による捕食説や、病原菌による罹病説などが有力視されてきた。しかし、親の葉を通過した光質によって、種子の発芽が抑止される事実からして「系統排除説・仮説」を提唱したい。

(2) また、このような学説もあります。(只木良也著・「森林のしくみと生態」から一部抜粋)
  陽性と陰性の違いは親木の下に直接子どもの木(稚樹)が生えることができないか、できるかで分けられる。親木の下は暗くて稚樹が育たないのが陽性の樹種である。
 従って、種子を遠くへ飛散し、明るい場所で稚樹を発生させるのが陽樹の特徴である。陽樹の森には暗いところでも育つことのできる陰樹が侵入してくる。 何らかの原因で上木が枯れたとき陰性の稚樹が大きくなっていくが、その下には自らの稚樹が育つ。この状態になるとこれ以上の構成樹種の変化はおこらない。

(3) ここで陽樹と陰樹の樹種について、本多静六著「森林家必携」から要点を抜粋。

陰樹よく日陰に耐える・・ヒバ、コウヤマキ
日陰に耐える ・・カヤ、シラベ、トウヒ、ブナ類、カシ類、シイ類、ツバキ
やや日陰に耐える・・ヒノキ、サワラ、クス、トチノキ
中庸土地や気候による・・タブ類、シデ類、カエデ類、コウヨウザン、サクラ類、エノキ、ムクノキ、エンジュ
陽樹やや日陰でも耐えぬ・・スギ、クヌギ、ヤナギ類、ナラ類、カシワ、キハダ
日陰に耐えられぬ・・クロマツ、アカマツ、イチョウ、ケヤキ、クリ、ハゼ、ニセアカシヤ
最も日陰に耐えぬ・・カラマツ類、シラカバ

★陽樹は適応力が大で、稚樹は干ばつや冷寒害に対する抵抗性が強く、よく裸地を占領する (先駆者・開拓者)。陰樹は裸地には育たないが、肥沃な林内では緩慢な成長を続け、やがては林地を占領するようになる。(定住者)
帆柱山系の陽樹の先駆種は、アカマツ、カラスザンショウ、アカメガシワなどである。

3.発芽の促進や抑制に、光質が影響するのです #

今回の課題は「スギ林が多いのに、なぜ稚樹が発生しないのか」です。今まで「成育適地」や「陽樹・陰樹の特性」をまとめてきたのですが、太陽光の光質が最も影響することが判名。

(1) 光りの質(色)は、400~700ナノ㍍の波長を可視光線と呼んでいる。この範囲の波長には、紫・藍・青・緑・黄・橙・赤の7色が含まれる。400nm以下を紫外線、700~800nmは遠赤色光、800nm上を赤外線と呼ばれ、植物に対して重要な働きをする。

(2) 植物は自分の置かれている環境を、温度・水分・土壌などから情報をえているが、光情報は重要な情報源であり、強さ(明暗)・質(色)・照射方向・照射時間・照射時刻などは、植物の成育にとっていろんな影響を及ぼす。

(3) 1935年に二人の科学者はレタスの発芽試験の中でいろんな波長の光りを与えたところ、光質の580~700nmの光りは発芽を促進するのに、500nm以下の光り及び700~800nmの光質は発芽を抑制することを見出した。

(4) その後の研究の結果、発芽促進には660nmの赤色光(R)が最も有効であり、抑制には730nmの遠赤色光(FR)が最も有効であることを発見。

(5) 太陽光は樹冠にはよく照りつけるが、葉の隙間を通り抜ける光りが地面に届いたときは、他の波長光に比して多量の遠赤色光(FR)を含んでいる。

(6) 雑草や森林内の日陰に飛散した種子は、特に陽性の種子の場合は適地とはいえない。それは遠赤色光(FR)の光信号を利用して発芽を避けているのである。

4.発芽できるのは何時のことか・・? #

 いろんな植物の種子が土中に埋まっていることは確かなことです。そのような種子が発芽できる機会はいつ訪れるのか、たいへん興味深いことがらです。  この難問を解明する上で、渡邊定元著・植物の世界第11巻「アカエゾマツの発芽阻害」の項に納得のいく論説があります。

自然発生のヒノキ・マツ稚樹

(1) 1960年北海道雌阿寒岳山麓のアカエゾマツ林、樹齢230年の原生林に後継樹が芽生えないのに注目。

(2) 実験の結果、光質が関係していることが判明。林床に届く光りは730nmの遠赤色光(FR)が多くなり、発芽阻害を起こすのである。

(3) カンバ類、ニレ類などの広葉樹やスギなども同様の阻害を起こすことがわかった。

(4) 倒木や伐採によって森林内に空間ができるとR/FR比の高い光り・赤色光があたるようになると種子は発芽し、十分な太陽光を受けて成長するのである。

★悪者扱いの遠赤色光(FR)にも善玉としての活躍の場がある。雑草や森林内のFRは、発芽抑制の作用がある中で、どうにか発芽できた植物は、早く雑草よりも高く伸びて太陽光を受けなければならない。そこで急速に成長を促すのがFRである。FRによる伸長促進が陽性植物において特に顕著であることである。

5.あらためて植物の特性(発芽)を知る・・・ #

 帆柱山系で最も多い樹種であるスギの芽生えを課題にすすめてきたのですが、やがてスギ花粉の飛散の時期かやってきます。

 スギ林は栄養繁殖法(無性繁殖)の一つである「さし木」が大半です。 さし木の成木にはよく花が咲くと言われており、花粉も多くなります。

 発芽が難しければ栄養繁殖という二段構えも植物の特性ですが、今回は光信号の情報を感知する特性にはビックリです。

 土埋種子が休眠(光要求性の特性)には入ると、暗黒の土中で生きる望みを続けながら、ただ待つのみで、光りが当たれば直ちに発芽する仕組みには驚嘆するばかりです。

(文責:田代誠一)

【 参考文献;原色日本林業樹木図鑑 : 植物生理学・瀧本敦著 : 樹木社会学・渡邊定元著 : 新造林学・佐藤敬二著 : 植物の世界・11巻 渡邊定元著 : 他  】 

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Table of Contents
  • 1.スギ・ヒノキ・マツの成育適地など・・・
  • 2.樹冠下の稚樹の発生は、陽性と陰性の特性にもよる・・?
  • 3.発芽の促進や抑制に、光質が影響するのです
  • 4.発芽できるのは何時のことか・・?
  • 5.あらためて植物の特性(発芽)を知る・・・

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