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皿倉山ビジターセンター

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Hobashira Nature Park Protection Association

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第14話「帆柱山系の皇后スギ林の遺伝子は実生か、さし木か」

< 1 min read

さし木だったら花粉症のもとである実がつかない・・・

 帆柱山系の権現山周遊道の西側に、通称「皇后スギ林」の群落がある。樹齢約200年生の皇后スギ林は、現存本数約80本と少なくなったが、巨大な直径から老木、巨木の様子を醸しだし、訪れる人々に荘厳さと、神霊の宿る面影を印象づける。

 天下統一の関ヶ原の戦いのあと、徳川家康は戦勝の武功に対して、「筑前筑後52万石」の領地を黒田長政に管理委託。長期安定の地盤が成立したことから「治山治水・森林林業」の推進に力を注ぐことが可能となり、藩内のいたるところで人工林の植樹がはじまった。

 特に、海岸線の防風林育成のために「植付奉行」を配置し、官民一体となって海岸林の造成が重視された。海岸近くの農山村の保全対策や農産物の生産向上のために、松林の育林には全体責任制度や罰則のもと、必死に育ててきたのが岡垣町の三里松原や玄海町の虹の松原などである。

 黒田藩が手がけた海岸の松林は今でも観察できるが、内陸の森林では「皇后スギ」の群落以外に見ることができない。それだけ貴重な森林資源であり、歴史的にも貴重な資源でもある。

1.裸子植物の繁栄から被子植物の誕生へ・・・ #

1.石炭紀(290~362百万年前)の中頃、大森林と昆虫などの繁栄。ジュラ紀(145~208百万年前)の中頃に恐竜が繁栄し、鳥類が出現。

2.コケ植物と維管束植物(シダ植物と種子植物)は別の系統からそれぞれ独立に緑藻類の先祖から進化してきた説が有力。種子繁殖は胞子繁殖から進化したことが判っている。

3.最初の種子植物は裸子植物。現在裸子植物は4群(イチョウ類・マオウ類・ソテツ類・球果類(針葉樹という)が存在。外見は大きく異なるが、種子が裸であるという点で共通。

4.裸子植物と被子植物との違いは、具体的にはソテツの種子は裸であるのに対し、柿の種子は厚い果肉に包まれている。イチョウの種子は悪臭の肉質部分は種皮の外層で全体が種子。

5.被子植物は裸子植物に遅れること1億数千万年の空きがある。被子植物は種子植物における新たな進化の段階にはいったことの証し。

6.裸子植物は生殖器官の形態からみると、シダ植物と被子植物との中間の進化段階にある植物である。その大半は絶滅し約800種が地球上に生き残っている。

7.現代における維管束植物の分類と種種は・・・・

2.九州地方のスギは、いつ頃か出現したのか・・・? #

 日本では最も大きくなる木で「幹が真っすぐに上に伸びる木」として、直木(スクキ)説からスギと呼ばれるようになった。日本書紀・風土記・万葉集などにも現れる。

 スギは本邦各地に野生する重要な常緑高木である。世界中で日本にしかない樹種である。林業上の価値が高いスギは、各地で広く植栽されている。用途は建築材のほか分野は広い。

 それでは、スギはどのくらい前から存在したのか、また氷河期に絶滅したと言われていたが、実は生き残っていた。など遡って探究する課題は多い。以下は宮島寛著「九州のスギとヒノキ」・九州大学出版会から部分的に引用したものである。

1.九州島の基本的構造は中生代末期(約6700万年前)にはできあがっていた。その当時は島ではなくてアジア大陸の一部であった。朝鮮海峡や対馬海峡ができたのは、今から1万5千年前のことである。

2.地質時代の新生代第三紀(6400~170万年前)に栄えたスギ科の諸属も、第4紀(170~現世)へ移り変わる時代に氷期が到来し、特に冬季の冷温乾燥化などの影響で次々に姿を消し、最後まで生き残ったメタセコイアも、今から100万年ほど前に日本列島から絶滅した。

3.その後九州におけるスギの天然分布は、花粉分析によれば第四紀洪積世(考古学では旧石器時代)の約100万年前まではスギが存在していたことを立証。その後の氷期最盛期(約25,000年前~15,000年前)の間に、スギの姿は消えてしまった。

4.一旦消滅したとされたスギは、沖積世中期(約1万年前)の地質から花粉の出現が見られることから、気候の激変に耐えて生き残っていた集団があった可能性を示している。

5.約1,500年以降になると、ほとんど同時に九州各地で見られるようになった。このことは人為的な植林が各地で進んでいたことの現れであるとする説が有力である。

3.皇后スギは実生苗で成長したものか、さし木苗で成長したものか・・・? #

 帆柱山系の森林は国有林が大半を占めているが、林相はスギ人工林が最も多い。次いでヒノキ人工林であるが、ヒノキ林は種子を播いて育てた苗木を持ち込んだのが成林したものである。

 黒田藩の藩有林の植林事業は、実生苗かさし木苗を育成することからはじまった。現代の国有林の造林事業も二通りの苗木を使い分けてきた。

 平成15年3月20日・宮島寛九大名誉教授の一行は、皇后スギ及び隣接地のスギ人工林のDNA調査のため来山。

 早速、「市民キャンプ場」の中の約100年生のスギ人工林から5本の供試木を選別し、DNA調査に必要な枝葉を採集。次いで、皇后スキ林から5本の供試木を選択し資料を採集。

 両サンプルの調査結果は、皇后スギの供試木は実生苗を植栽したことと、キャンプ場のスギ人工林はさし木苗を使って植林したことが明らかになった。・・その結果、        

1.森林ガイドの中身に学術的深みが加わったこと。
2.黒田藩の育林政策を知り得たこと。
3.さし木には実がつかないので花粉はできないこと。

等が判ったことは大きな発見である。

(文責:田代 誠一)

【参考資料】
九州のスギとヒノキ  宮島寛 著
九州大学出版会  北九州の100万年  米津 三郎 監修
海鳥社  樹木社会学  渡辺定元 著
東京大学出版会  生物の進化と多様性  岩槻邦男 著
放送大学教育出版会  植物の世界 裸子植物  鈴木三男 著

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Table of Contents
  • 1.裸子植物の繁栄から被子植物の誕生へ・・・
  • 2.九州地方のスギは、いつ頃か出現したのか・・・?
  • 3.皇后スギは実生苗で成長したものか、さし木苗で成長したものか・・・?

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