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皿倉山ビジターセンター

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Hobashira Nature Park Protection Association

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第24話「幻の植物『熊谷草と敦盛草』のゆくえ」

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昔の帆柱山には生えていたという。それを見た人もいるという。

 この幻の植物は、大正6年(1917)に刊行された「遠賀郡誌」にその存在が記載されている。今から相当の前には「熊谷草・敦盛草」が生えていたというものの、根拠は遠賀郡誌と貝原益軒著「大和本草」に頼るところが大きい。記録写真もないし、発見者も見あたらない。

 真偽のほどは別にして、現在では発見の確立は皆無に近い。九州でも宮崎県・鹿児島県・熊本県・大分県には生育していることから、少しは期待したいものだが・・。

1.遠賀郡誌の記述は・・ #

この山の東の谷に熊谷草・敦盛草と云える奇草を生ず。その形一茎二葉、花は小さき棘あり。茎の本に土葉二つあり。葉は款冬(ふき)に似て縮み、一葉の如く見ゆれども条理ありて実は二葉なり。葉の中心より小葉を生じ、三四月頃、白に紫の筋のある花を開く。この花、皿倉山の谷にも生ぜしと云う。「大和本草」に出すところの図に異なることなし。

(写真:遠賀郡誌上・下巻)

 かなり詳しくまとめているところをみると、観察なしでは書けない部分があり、今から300年程前の東谷の環境は、奇草が生えるだけの自然があったと認める方向に傾いてきた心境である。

 また、遠賀郡誌は大正6年に改訂増版されたおりに、注解として「梶原精作會て此花得て愛玩せしが今はなし」の記述からみて、大正の頃には生えていたことが濃厚のようでもある。

ア: 大和本草・・貝原益軒著について (1630~1714年)

1708年(宝永5年)益軒79歳のとき「大和本草・本文16巻・付録2巻など」を著作完成。当時は科学的図書の見地からみても最も優れた書といわれ、我が国初めての体系的生物学の著述として貴重な作品である。

 それまでは中国明代の季時珍著「本草綱目・1892種掲載」に頼るところが大きかったのですが、益軒はこの中から日本に存在する確かな種類・772種を抜粋し、他の本草関係書などから561種を、また南蛮渡来の29種、合計1362種について集録。
 他の著書で有名なのは「花譜・本文3巻」(益軒の本草学の代表的著作)、「養生訓・8巻」(医学的な養生書)、「筑前国続風土記・30巻」(地誌・15巻に遠賀郡を集約)などの多くの著作品を発表。

ア. 貝原益軒先生は、皿倉山に係わる課題として「熊谷草・敦盛草の奇草説および蠣殻付着説」を後世に残したのであるが、今なお完全に解明されていないのです。

イ. 遠賀郡誌の記述によれば、「熊谷草・敦盛草」の奇草が東谷に生えていたと述べているものの、「大和本草」に東谷存在説が記述されているのか・・?」 この辺りの不明確さから「迷宮」の入口に突き当たることになり、当面謎解きは続きそうです。

ウ.また、筑前国続風土記によれば「皿倉山の上なる岩に多く付けるよし」と述べているが、遠賀郡誌編集の頃には「・・・記せるも今はなし」となっている。この問題も迷宮入りの一つになりそうだが、次の資料から蠣殻の付着はありそうもないのです。

エ. 市立いのちのたび博物館・藤井厚志先生の「皿倉山はいつできた..? ほばしら機関誌 82号記事によれば、「この地方に広がっていた起伏の小さい低平な地帯は、その後段階的に大きく隆起し、3百万年前頃にかけて激しい浸食を受けます。そして現在の・・・」との論説から、海底の起伏や隆起はありえない地帯であり、蠣殻説は無理なようです。

2.植物図鑑の諸説を要約すれば次のとおり #

ア. 和名の由来は、花の唇弁の袋状のものを熊谷次郎直実が背負った母衣に見たてたものを、クマガイソウと呼び、敦盛が背負った母衣に見立ててアツモリソウと名付けられたものである

イ. 世阿弥作の能「敦盛」は、源氏の武将・熊谷直実が、武門の世界 観に無常を感じて仏門に入るという説話を基にしている。ここに登場する熊谷直実と平敦盛の二人の名前が植物名に取り入れられ現在 にいたっている。 (写真:クマガイソウ)

(写真:牧野日本植物図鑑より)

ウ. 熊谷直実(1141~1208年)は、はじめ平知盛に仕え、石橋山合戦の折りには大庭景親に属して源頼朝を攻める。のちに頼朝に仕え一ノ谷合戦で平家の武将平敦盛を討ったことが出家の原因だと云われているが、所役を怠ったこと所領の係争に敗れたことなどから出家。京都に至り源空(法然)の弟子となって法名を蓮生と号した。

エ. アツモリソウは冷温帯の本州中部以北を分布域とすることから、「皿倉山」を自生地とすることは不可能であり、何かの間違いではないかと思う。一方クマガイソウは標高の低い場所に生育しており、暖温帯の竹林などに群生することがあることから、東谷存在説は捨てがたく、今後に一滴の期待感がある。

A.
ラン科・クマガイソウ(Cypripedium japonicum Thunb)は北海道・本州・九州に分布し、多年生草本にして高さ30~40㎝。ツンベルクはリンネの弟子で植物学者。
1775年来日、植物採集、日本見聞記、日本産植物の分類研究で有名な人物である。オランダ東インド会社の社員としてプラントハンターの任務のために来日。1784年「日本植物誌」をヨーロッパで出版。(大和本草は1708年著作)

B.
根茎は地中を横走し屈曲せる粗針線の如く、節より少数の髭根を出す。茎は直立して密に粗毛を生じ、下部には3~4の鞘状葉あり、上部には無柄の大葉をつける。

C.
葉は2片互生しているが相接しているので対生のように見える。扇形をして開張し縦筋多く裏面には軟毛がまばらに生える。

D.
4~5月の頃、葉心より高さ15㎝程の密毛のある花柄を直立し、頂点に径8㎝に達する淡緑色の花が横向きに開く。唇弁は袋状となる。

 帆柱山系ではラン科のエビネ・ネジバナ・キンラン・ギンランなどの植生を観察することがてきるが、一時のブームの煽りに出合ったエビネランは絶滅の恐れがあり、他の種類も乱獲の危険にさらされている。自然保護のためには巡視・巡回を強化することが必要である。

(文責:田代 誠一)

【参考引用文献】
・植物の世界9巻  朝日新聞社/井上 健著
・山に咲く花  山と渓谷社/畔上能力解説
・牧野日本植物図鑑  北隆館/牧野富太郎著
・貝原益軒  吉川弘文館/井上 忠著
・貝原益軒  西日本新聞社/岡田武彦監修

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Table of Contents
  • 1.遠賀郡誌の記述は・・
  • 2.植物図鑑の諸説を要約すれば次のとおり

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